東京高等裁判所 昭和27年(う)2646号 判決
所論にかんがみ、本件訴訟記録並びに原裁判所及び当裁判所が取り調べた証拠を精査すれば、原判決の末尾に添付してある別表(一)のうち、三浦和子、阿部孝こと安倍こう及び渋川チヨの三名は、被告人が雇用するために、原審相被告人早川キヨをしてこれを募集させたものではなく、三浦和子については檜森聖己が、阿部孝こと安倍こう及び渋川チヨの両名については川村厳夫が、それぞれこれを雇用するため、被告人にその募集を依頼し、被告人は右依頼により、原審相被告人早川キヨをしてこれを募集させたものであり、且つ現に三浦和子は檜森聖己方に、阿部孝こと安倍こう及び渋川チヨの両名はいずれも川村厳夫方にそれぞれ雇用されたことが明らかである。ところで、原判決が被告人の右三名に対する原判示第一の(一)の各所為に対して適用した職業安定法第三十七条第一項、第六十四条第三号は、労働者を雇用しようとする者が、労働大臣の許可を受けないで、その被用者以外の者をして、自己が雇用する労働者の募集を行わせた場合に適用せらるべきものと解されるが、原判決は、その判文に照らして明らかなように自己が雇用する労働者を募集させる場合であると、他人から依頼を受けて、その他人が雇用する労働者を募集させる場合であるとを問わず、自己の被用者以外の者にこれを募集させた場合にはすべて右法令の適用があるものと誤解して、被告人の前記三名に対する原判示第一の(一)の各所為に対して右法条を適用したものと認められ、且つこの法令の適用の誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから論旨は理由がある。